競馬をするなら血統も覚えるべきか?初心者に向ける血統基礎講座

Wakabamark 競馬 血統

まだ競馬を始めたばかりという方は、競馬に関するいろいろな情報を手にするのが楽しくてしょうがないかと思います。

レースのことや騎手のこと、厩舎のこと、競馬場のこと。多くの要素が集まって競馬は成り立っていますが、そんな情報の中で、もっともとっつきにくいのが「血統」ではないでしょうか?

その馬の両親、先祖の話であることは理解できても、それが何なのか?何の役に立つのか?覚える必要があるのか?などとにかく「?」マークばかりかと思います

そこでこの記事では、特に初心者の方に向け、全く難しくない血統講座を開講していきたいと思います。

競馬はブラッドスポーツ

エフフォーリア07
「全く難しくない」と言いながら、いきなり血統表の画像を載せてみました。初心者の方には何のことやらよくわからないかと思います。

しかし、競馬は「ブラッドスポーツ」です。100年を超える歴史の中で、多くの馬産者の方が工夫し、考え、血を掛け合わせてきたという歴史があります。

こうした優秀な血の積み重ねの結果、現代の競馬が存在しています。血統を知るということは、ブラッドスポーツである競馬の真髄を知るということにもつながるわけです

競馬には優秀な馬の血を掛け合わせてきた歴史がある

Race03
競走馬を生産する人たちが考えていることはひとつ。「より強い馬を誕生させたい」という思いです。そのため競馬は古くから多くの馬を誕生させてきました。

競馬で競い合うサラブレッドは、サラブレッドからしか生まれません。その限られた条件の中で、最良の血を選び出し、最良の組み合わせを模索しながら発展を続けています

競馬のベテランの方の中には、「史上最強の馬はシンボリルドルフだ」などと言っている方もいるかと思います。ほかにもディープインパクト、サイレンススズカ、オグリキャップ、エルコンドルパサーなどなど歴代最強馬には多くの過去の馬が名を連ねるものです。

確かに過去にも名馬は存在しました。強かったのも間違いありません。しかし競馬がブラッドスポーツである以上、今現在最強の馬は、今現役で最も強い馬のはずです。

前出のディープインパクトやシンボリルドルフ、サイレンススズカ、エルコンドルパサーが今全盛期の姿で復活しても、2021年秋現在、最強の馬は3歳にして天皇賞(秋)を制したエフフォーリアということになります。

少々話が逸れましたが、とにかく競馬は血を繋ぐスポーツ。そうである以上血統知識も必須の情報ということになります。

血統から馬の素質が見えてくる


「分かった、分かった。おっさんの血統に対する熱い想いは十分分かったから、結局血統で何が分かるの?」

そんな読者の声が聞こえてきたような気がします。話を本筋に戻しましょう。

血統からわかることはその馬の能力、個性、特徴といったところ。その馬がどのような距離で強く、どのようなタイプの走りをするのか?芝が合うのかダートがいいのか?逃げた方がいいのか追い込んだ方がいいのか?などなど。馬の基本的な能力をある程度判別することができます

とはいえ、馬の能力全てが血統によるものでもありません。デビュー前の訓練や入厩後のトレーニング、厩舎の環境や食べてきたものなどなど。多くの要素が集まってその馬の能力は決定します。

血統だけで競馬予想ができるわけではありませんが、血統抜きで予想するより、より正確な予想ができるようになる。これが血統という要素となります。

最初に覚えるべき血統専門用語4選

専門用語
特に競馬初心者の方は、血統理論、配合理論を難しいものと考えがちですが、そこまで深刻に考える必要もありません。

所詮予想ファクターの一つであり、ある程度の知識でも十分競馬予想に役立つものです。

そこで血統を学ぶために、最初に覚えておきたい専門用語を4つまで絞り込んでみました。

サイアーとサイアーライン

まず血統で大切になるのが「父馬」の存在です。競走馬の父となる馬は「種牡馬」とも呼ばれます。この父を英語で書くと「Sire(サイアー)」となります。ちなみにSireは四足歩行の獣の父という意味。馬なのでFatherではなくSireとなります。

上の血統表、英語ばかりでわかりにくいかもしれませんが、こちら「サンデーサイレンス」の血統表になります。サンデーサイレンス自体がアメリカで活躍した馬なので、血統表も英語だらけです。

サンデーサイレンスの「サイアー」はHaloという馬。別にこの馬名を覚える必要はありません。さらにこのHaloから父を遡っていくと、Hail to Reason→Turn to→Royal Chager →Nearcoとなります。ちなみにこの4頭の名前も覚える必要は特にありません。大事なのは血の繋がりです。

この父馬の連なりをサイアーラインと呼びます。日本語では「系統」などと訳されることもあり、血統の話で「〇〇系」という単語が出てきたらこのサイアーラインの話だなと思えば間違いありません。

ブルードメアサイアー(BMS)

コントレイル02英語だらけの血統表では伝わりにくいかもしれませんので、少しカタカナの入った血統表を用意しました。こちら2020年の牡馬クラシックを無敗で制した三冠馬・コントレイルの血統表です。

この血統表の黄色い枠で囲んだ部分。つまりコントレイルの母馬(ロードクロサイト)の父がブルードメアサイアー(BMS)となります。分かりやすく言えば母方のおじいちゃん。血統表では「母父」と呼ばれる馬です。

このBMSに注目する理由は、競走馬は両親からその能力を遺伝しているから。とはいえ母馬がどんな馬か分からないと意味がありません。そこでBMSです。

母馬も当然その両親から能力を受け継いでいます、その母馬がどのような馬かを想像するために必要なのが母馬の父、つまりBMSということになります。

血統表を見るときはまず両親の名前、そしてこのBMSを確認するようにしましょう。

インブリード

デアリングタクト気分を変えるためにどんどん血統表を変えていきます。今度は2020年牝馬クラシック三冠を達成したデアリングタクトの血統表です。

この血統表の中で赤文字で記されている馬がいます。よく見ると、父側にも母側にも同じ馬名があるかと思います。これがインブリード(クロス)となります。

インブリードは平たく言えば近親配合。強い馬の血を掛け合わせていくと、比較的発生しやすい配合になります。

インブリードがあると馬が強くなるということはありません。イメージとしてはすごく強くなる可能性もあるし、全く走らない可能性もあるといったところ。近親配合ゆえに、うまくハマれば強烈に強くなりますが、近親配合の影響で体質が弱くなり能力を発揮できない場合もあります

ここでは「そういう配合があるんやな」くらいに覚えておけば十分でしょう。

アウトブリード

ディープインパクト
続いて2021年現在大活躍中のサイアー・ディープインパクトの血統表の登場です。

ディープインパクトの血統表には赤文字がありません。つまりインブリード(クロス)がないということ。こういった配合を「アウトブリード」と呼びます

アウトブリードの特徴は、比較的体質の強い馬が多く、長く活躍する馬が多いこと、そして組み合わせがハマれば化け物級に強い馬が誕生するケースがあることです。

競走馬の血統はインブリードかアウトブリードの二択です。どちらが強いということはありませんが、特徴として覚えておきましょう

ここまで紹介した4つの専門用語を知っていれば、大概の血統解説を理解できるかと思います。続いて血統表の見方について簡単に解説していきましょう。

血統表の見方3つのステップ

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この記事でも何度も登場している血統表ですが、正直初心者の方はまず見方が分からないかと思います。そこで非常に簡単な見方に関して、3つのステップで紹介していきましょう。

父馬と母馬をチェック

ソダシここからは2021年桜花賞馬ソダシの血統で解説していきましょう。ソダシの血統を見ると、Northern Dancerという馬名が赤く表記されています。つまりソダシはNorthern Dancerのインブリードを持つ血統となります。

血統からその競走馬の能力を推測するわけですから、まずは何より両親の名前をチェックしましょう。ソダシの父はクロフネ、母はブチコであることが分かります。

クロフネは日本で活躍した名馬ですからイメージしやすいかと思います。実際にクロフネを見ていなくても、ネットで調べればその戦績は簡単に見つかります。クロフネは3歳時にNHKマイルCを勝ち、さらに秋にはJCダート(現在のチャンピオンズC。当時は東京ダート2100m)を7馬身差で勝った怪物です。

このことから、芝でもダートでも走る、しかもスピードに長けた血統であることが分かります。このクロフネを良く知るために次のステップにいきましょう。

三代前まで遡ろう

ソダシ02クロフネの特徴をより深く理解するために、クロフネのサイアーラインを辿ります。クロフネの父はフレンチデピュティ、その父はDeputy Ministerです。

細かい解説はしませんが、この父と祖父はどちらもアメリカ競馬で活躍した血統。ダートが中心で長距離レースが少ないアメリカ競馬で活躍したということは、スピードがあり、2000mあたりが上限の血統であるということが分かります。

このように父を深く知るにはサイアーラインを辿るのが最適。知らない馬の名前が多くなるかと思いますが、3代ほど遡るとイメージしやすくなります

さて、ここまで父馬を中心に見てきましたが、血統を構成するのは父の血と母の血です。続いて母馬の確認となりますが、ブチコを知っている初心者の方も少ないでしょう。そのあたりを次のステップで見ていきましょう。

基本は左上から右下へ

ソダシ03ソダシの母はブチコ。生涯成績も3勝で、そこまで目立つ戦績ではありません。この場合どうするか?こういった場合はブチコの血統を確認します。

赤枠で囲っていますが、ブチコの父はキングカメハメハ、母はシラユキヒメです。キングカメハメハは日本でも有数の種牡馬。NHKマイルCと日本ダービーを連勝した唯一の存在です。このことからも芝のレース、マイルのレースに強い、やはりスピードが勝った血統であることが想像できます。

しかしブチコの母シラユキヒメはどうでしょう。こちら現役時代は未勝利に終わった馬です。戦績からは馬がイメージできません。こうした場合はブチコの時と同様に、シラユキヒメの血統を見ます。

シラユキヒメの父はあのサンデーサイレンス。いわずと知れた最強の種牡馬です。産駒にはスピードと瞬発力を強く伝える反面、スタミナ面や気性面にやや不安があるといったイメージでしょう。

ここでソダシという馬をイメージしましょう。父はマイル~2000mあたりで活躍した馬。母はそこまで活躍できなかったものの、サンデーサイレンスの血とキングカメハメハの血を持つ馬ということで、やはり距離は2000mあたりまで、スピードのある遺伝子を持っていると想像できます

実際ソダシは1600mの桜花賞を勝ったものの、距離が2400mに伸びたオークスで負け、その後2000mの札幌記念で古馬を破って優勝しています。2000mあたりまでで強い、スピードタイプという想定は大きく間違っていないかと思います。

このように血統表はサイアーラインを確認したら、今度は右下の方向に流れるように父馬を見ていくことで、かなりイメージがしやすくなります。これが血統表の見方の基本となりますので覚えておきましょう。

血統表を馬券に活用

競馬新聞
さて、血統表の見方がなんとなくわかったら実践編です。実際にこの血統表をどのようにして競馬予想に盛り込むかということを考えていきましょう。

馬の実力や特徴が推測できる

Race01
血統表を見ることで、その馬の個性や特性・特徴をイメージすることができます。もちろん、競走馬の能力を決めるのは血統だけではありません。ほかの要素も考える必要はありますが、血統もその要素の一つであることは間違いありません。

例えばダートレースで軸馬に迷ったとき。ほかの要素で差がつかなくても、血統面で一方がダートに強く、もう一方がダートがあまり得意ではなければ、この血統要素で軸馬を決められるかもしれません

また、穴馬を探しているとき。ほかの要素ではあまり目立たない馬が、血統という点では非常にそのレースに向いていると知れば、買い目に付け足すことも可能でしょう。

馬の実力や能力を推測する要素の帆とつとして血統を活用することで、馬券的中率が大きく跳ね上がるかもしれません。

活用次第で馬券予想にも影響が


血統を予想に採り入れると、競馬予想のスタンスに大きな影響が出るケースもあります。例えば2021年の天皇賞(秋)。このレースは前年の無敗の三冠馬・コントレイルと、1200~1600mのGⅠを5勝している最強マイラー・グランアレグリア、そして2021年の皐月賞を無敗で制し、日本ダービーも僅差の2着に善戦したエフフォーリアの3強対決でした。

人気はコントレイル→グランアレグリア→エフフォーリアの順でしたが、天皇賞(秋)の特徴と、血統面の特徴を知っていれば、比較的簡単に的中できる馬券だったと思います。

天皇賞(秋)は道中のペース次第で強い馬のタイプが変わるレース。ハイペースならマイラーが、スローペースなら瞬発力に長けたタイプが、ミドルペースならスタミナタイプが押し切るレースです。この特徴を踏まえて人気3頭の血統を見てみましょう。
コントレイルコントレイルはいわゆる王道のサンデーサイレンス血統。芝の中距離で強く、瞬発力が高いタイプの血統です。母方にミスプロ系やノーザンダンサー系の血が入っており、スタミナはあまり補完されていないイメージです。

グランアレグリアグランアレグリアもコントレイル同様ディープインパクト産駒ですが、母方の血がよりスピード血統に偏っており、戦績通りマイルがベストの印象。もちろん2000mが長いという印象はありませんがベストではないというところでしょう。

エフフォーリア07最後にエフフォーリア。父はエピファネイアでその父がシンボリクリスエス。どちらかというとスタミナに長けたサイアーラインです。とはいえ父方にもサンデーサイレンスが入っており、スピード不足とまでは言えないイメージ。

さらに母父ハーツクライですが、こちらはサンデーサイレンス産駒の中でも晩成のスタミナタイプを出すことで有名なサイアー。このことからエフフォーリアはサンデーサイレンス系の馬ほどスピードに特化しておらず、スタミナ系の血が多く含まれていることが分かります。

実際の天皇賞(秋)は5F通過が60秒5という平均ペース。最後の直線はスタミナ比べとなり、血統から見ても優位に立つエフフォーリアが制しました。続いてスタミナに大きな不安がないコントレイルが入り、3着にスタミナに不安のあるグランアレグリアという結果に。

ペースを読み切ることができ、血統による馬の特徴を把握していれば、そこまで難しい馬券ではなかったのではないでしょうか。

おすすめの血統勉強法

競馬の血統学

  • 競馬の歴史からがっつり学ぶならがおすすめ
  • 少しずつ学んでいくのであればアプリでも勉強できる

血統に関して簡単に解説してきましたが、この記事をきっかけに血統に興味が湧いたという方は、一度血統を勉強してみるのがおすすめです。

血統に関して競馬の歴史からがっつり勉強してみたいという方は、読みたいときにすぐに開いて確認できる本を買うのがおすすめ。血統を学ぶのにおすすめの本は以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

競馬の勝率は血統学で大幅アップ!血統が分かる本を3冊紹介
競馬の血統は初心者はなかなか予想に組み込みづらいもの!だからこそ血統についてマスターするためにおすすめの本を徹底紹介!もう負けるのは今日で終わりだ!

また、そこまで本格的に学ぶというより、馬券を楽しみながら知識を増やしたいという方にはスマホアプリがお手軽でしょう。血統を馬券の参考にもでき、さらに勉強もできるアプリは以下の記事で詳しく解説しています。

競馬ファン必携!血統を手軽に学べるおすすめアプリ3選
アプリで簡単な血統について勉強したい!?おすすめの血統アプリ徹底紹介!

まとめ

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競走馬の能力は、生まれた環境、育った環境、厩舎の環境、馬主の意向など、いろいろな要素を受けます。こういった要素の前に大きな影響を受けるのが血統です。

競馬は多くの馬が競い合い、その結果を予想するギャンブルです。予想するためには競走馬の能力をより正確に把握する必要があり、そのために必要な要素の一つが血統となります。

血統理論には難しい部分もありますし、英語の馬名や聞いたこともない競走馬の名前などが出てくるため、勉強するのが面倒に感じるかもしれません。しかし、一回学んでしまえば、その知識はいくらでも応用が利きます

慌てて覚える必要はありませんが、少しずつ慣れていくと、競馬を楽しむという点でも、馬券成績という点でも大きなプラスとなるでしょう

競馬で勝つには血統を予想に組み込むべきか?血統の基本を簡単解説
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