ある程度馬券を購入していると、自分の馬券成績に満足できなくなるものです。こういったとき多くの競馬中級者は、新たな予想スタイルを模索するもの。ここでとんでもないサイン馬券など、謎の攻略法に走る方もいますが、比較的注目されるのが「血統理論」でしょう。
血統理論を馬券に転用するには、まず血統を勉強する必要があります。とはいえ血統の勉強といっても何をどうやって学べばいいものか……。
そこで悩んでいるアナタに贈る、血統の基礎知識と、より深い血統理論の勉強方法をご紹介します。
目次
血統はどこから勉強するべきか
「血統に関してはなんとなく把握している」
「種牡馬の特徴はなんとなくわかる」
このレベルの血統知識の方が、本格的に血統を学ぶには、どこから手を付けるべきでしょうか?血統理論にはいろいろなアプローチがあり、結論も多岐にわたります。
そこでどこから学ぶかの前に、「血統」というものの基本から覚えておきましょう。
血統論に正解はない
これまでの競馬界を振り返っても、数多の血統の馬が誕生しています。その競走馬の能力が、血統だけで決まっているかといわれればこれはNOという答えになります。
一例をご紹介すると、現在種牡馬ランキングでTOPの地位をキープし続けるディープインパクトの例があります。
ディープインパクトは父サンデーサイレンス×母ウインドインハーヘア(母父Alzao)という血統です。ちなみにディープインパクトの生涯成績は【12.1.0.1】。無敗でクラシック三冠を達成するなど、7つのGⅠ勝利をマークしています。
実はこのディープインパクトと全く同じ血統の馬が2頭います。ブラックタイドとオンファイアです。この2頭、ブラックタイドがスプリングSを勝ったのみで、GⅠにはどちらも届いていません。また、ウインドインハーヘアの仔もほかに重賞すら勝てていない事実があります。
同じ血統でもこれだけ差がある以上、血統論は万能ではないということ。競馬には多くの予想要素がありますが、血統もそのひとつ。血統がすべてで予想をしても、正解にはたどり着けませんので覚えておきましょう。
勉強の前に知っておきたい血統3つのポイント
まずは血統の基礎の基礎から抑えておきましょう。このあたりは知っているという方も多いかもしれませんが、復習のつもりで確認しておいてください。
Point① 母馬が能力のベース
競走馬の能力のベースをつかさどるのは母馬の能力です。能力といっても競走能力というわけではなく、その馬の基礎能力が伝わります。
繁殖牝馬にもいろいろなタイプがいますが、中には優秀な仔を多く残す繁殖牝馬がいます。ビワハヤヒデとナリタブライアンというGⅠ兄弟を遺したパシフィカス、ドリームジャーニーとオルフェーヴルを産んだオリエンタルアート、ダイワメジャーとダイワスカーレットの母であるスカーレットブーケがその代表でしょう。
オリエンタルアート産駒の2頭は父も同じステイゴールドですが、パシフィカスとスカーレットブーケはそれぞれ別の父馬から強豪馬を輩出しています。
つまり競走馬のベースとなる能力や資質というのは、基本的に牝系から引き継がれるということ。繁殖牝馬の競走能力が直結するわけではなく、牝系が持ついい能力・資質を、そのまま仔に引き継げる繁殖牝馬が存在しているということになります。
競走成績はそこまで良くはなくとも、繁殖牝馬として優秀な牝馬もいますので、覚えておきましょう。
Point② 父馬が馬の特徴を決定
競走馬のベースを繁殖牝馬が決めるとすれば、父馬が仔に与えるのは何になるか。それが競走馬の持つ特徴・個性ということになります。
競走馬が父馬から影響を受けるのは、距離適性や切れ味、スピードやスタミナといった、競走馬としての特徴です。
簡単に父馬から引き継ぐ特徴をいくつか紹介しましょう。
- ディープインパクト産駒は瞬発力がある芝馬が多い
- ハーツクライ産駒はスタミナがありやや晩成傾向
- ヘニーヒューズ産駒はダート適性が高い
こういった特徴は、主に父馬から引き継ぎます。つまり競走馬のベースとなる資質は母馬から、その馬の持つ個性や特徴は父馬から引き継ぐことになります。
Point③ 父馬と母父馬の関係性に注目
では、血統を見てその競走馬をイメージするにはどう考えればいいのか?ここで注目したいのが母馬の父、つまりその競走馬の母方の祖父といいうことになります。
競馬界ではこの母方の祖父を「母父」や「ブルードメアサイアー(BMS)」と呼び、この母父と父の関係性が、競走馬に大きな影響を与えるといわれています。
競走馬の個性や特徴を決定づけるのが父馬だとすれば、母馬の個性や特徴を決定づけているのはその父、つまり母父ということになります。そう考えると、父馬の特徴と母父馬の特徴を知っていれば、競走馬の持つ能力をイメージしやすくなるということになります。
また、父馬と母父馬の系統にも注目。系統に関してはほかの記事で詳しく解説していますが、この系統の組み合わせにより、競走馬の能力に好影響を与えることがあります。
※内部リンク入れる
競馬の血統表にある「系統」とは?競馬の歴史を堪能できる「系統」の話
この相性のいい系統の組み合わせを「ニックス」と呼び、有名なニックスはいくつかの種類があります。ニックスに関しては、正直丸覚えするしかありません。目にする機会があれば丸覚えするようにしましょう。
★代表的なニックス
父馬 | 母父の系統 | 代表的な馬 |
ディープインパクト | Mr Prosupector系 | コントレイル ワグネリアン |
ロードカナロア | サンデーサイレンス系 | アーモンドアイ サートゥルナーリア |
ハーツクライ | ノーザンダンサー系 | ヌーヴォレコルト |
ルーラーシップ | ディープインパクト系 | キセキ |
単純にその馬をイメージするために、父馬と母父馬を見るのも有効ですし、ニックスの組み合わせを覚えて活用するのもいいでしょう。
少々古い例では、父ステイゴールド×母父メジロマックイーンという組み合わせが最強のニックスといわれた時代がありました。この組み合わせの代表がオルフェーヴル。さらにゴールドシップやフェイトフルオーも、母馬は違っても同じ父×母父の組み合わせで結果を残し話題になりました。
いずれにせよ、父馬と母父馬の関係性が大きな注目ポイントとなります。
血統を勉強するためのツール3選
- しっかりと学ぶのであればやはり本が最強
- 知りたい血統のみを調べるならサイトを検索するのがおすすめ
- 手軽にパパッと学ぶならスマホサイトもアリ
血統における基礎の基礎を覚えたら、今度は本格的な血統の勉強です。血統の勉強をするツールは主に3つ。本を読むか、ネットのブログサイトなどで学ぶか、スマホアプリなどを活用するかです。それぞれのメリットやデメリットに関して解説しておきましょう。
本で勉強するメリットとデメリット
血統理論をしっかり学ぶのであればやはり本が最もおすすめです。競馬関連書籍の中には、血統に関する専門書籍がいくつも出版されています。
本で学ぶメリットは、過去を振り返って競馬の歴史を知りながら、血統理論を基礎からしっかりと学ぶことができること。
反対にデメリットは、最新データが反映されにくいということ。競馬の血統は毎年新たに更新されていきます。本の場合、出版時点での血統情報で情報が止まるので、血統理論を基礎から学べる反面、最新情報が入手しにくいということが考えられます。
最後に血統の勉強におすすめの一冊を紹介しておきましょう。競馬の歴史や血統理論の基礎まで一気に学べるおすすめの一冊です。
サイトで勉強するメリットとデメリット
最新の血統情報を入手するのであれば、ネット上で検索するのもひとつの方法です。とくに特定の血統に関して調べたいときなどは、手軽にある程度信頼できる情報が入手できるということになります。
メリットは基本的に無料でも検索できるということ。そして、素早く検索できるということでしょう。
デメリットは無料で検索した情報の信ぴょう性に疑問が残るという点。特にブログサイトなどでは、ブログを書いている方の個人的なイメージのみが反映されている可能性があり、正しい情報であるかどうかの確認が取れません。
ネットで得た情報は、できれば根拠がハッキリしているものだけを抽出し、根拠が薄い、示せない情報は参考程度にとどめる必要があります。
血統に勉強であれば、血統の専門家のサイトがおすすめ。血統理論での予想などで有名な、亀谷敬正さんのサイトがおすすめです。
PUSH!
アプリで勉強するメリットとデメリット
もっと手軽に血統の勉強をするのであれば、スマホアプリという手もあります。スマホアプリは手軽に利用できるため、いつでもどこでも学べるというメリットがあります。
反対にデメリットは、スマホアプリではそこまで専門的に勉強できることが難しいこと。スマホアプリでは勉強をするというより、血統の関するデータをまとめているアプリがほとんど。勉強というにはいまひとつ活かしにくいかもしれません。
血統別のデータを知るには「らくらくIPAT」がおすすめ。と票もできますが、レースごとに相性のいい血統をワンタッチで調べられるので、血統を勉強しながら馬券に生かすにはおすすめのアプリになります。
血統を知ればより競馬が楽しくなる
血統を勉強するというと、少々面倒に感じるかもしれませんが、競馬がブラッドスポーツである以上、血統は必須の要素とも言えます。血統に関する知識を身に着けることで、より競馬を楽しめるようになるのは間違いないでしょう。
また、より楽しめるというだけではなく、周囲から一目置かれる存在になることも。
「この距離で内枠だとディープ産駒は狙いにくい」
「人気はないけどこの条件ならルーラーシップ産駒は力が出せる」
など、血統を予想に採り入れることで、周囲からの見られ方も変わります。単なるギャンブル好き、単なる勝負師ではなく、競馬をしっかりと勉強して予想しているというキャラを演じることもできるでしょう。
もちろんこういった周囲からの評価を目指す場合は、ある程度的中させる必要があります。当たりもしないのに能書きだけうるさい競馬ファンは、嫌われる競馬ファンの筆頭です。筆者の周囲にも能書きのみでまったく当たらない男がいましたが、いつの日か一緒に馬券を買うことはなくなりました。
この点は十分注意しましょう。
まとめ
競馬はギャンブルであると同時にブラッドスポーツと呼ばれる歴史と伝統のあるスポーツでもあります。
長い競馬の歴史の中で、数々の名馬が誕生し、その名馬同士の血を掛け合わせることで発展してきた歴史があり、この血統理論を無視することは、競馬の楽しみ方をひとつ無視していることにほかなりません。
また、これまでの長い歴史の中で、積み重ねられてきた血統の特徴は当然ながら競走馬の能力を図るための要素にもなります。馬券予想の要素の一つとしても血統は優秀な要素であり、勉強をすることで馬券の的中率が高まるかもしれません。
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競馬で勝つには血統を予想に組み込むべきか?血統の基本を簡単解説
まずは興味のあるとことからでもいいので、血統の勉強をしてみてはいかがでしょうか?